泣沢女(ナキサワメ)「日本神話の世界」

泣沢女ナキサワメ

泣沢女1
神格
井泉神、水の神
祀られている神社
哭沢女神社(奈良県橿原市木之本)
藤並神社(和歌山剣有田郡吉備町)
泣沢女2
神徳
出産、新生児守護、延命長寿
別称
哭沢女神、啼澤女神
系譜
イザナミの死を悲しむイザナギの涙から生まれた神
詳細
泣沢女(ナキサワメ)はイザナミが死んだ悲しみでイザナギが流した涙から生まれたとされる水の女神で、名前からナキサワメ自身が泣くようなイメージを持たれがちですが、ナキサワメが泣き上戸であるといった逸話は特に残っていません。

涙の聖霊とも呼ばれているナキサワメは仏教でいう所の葬式にあたる神道の神葬祭に関係し、中国や韓国などでは一般的とされている「泣き女」と呼ばれている専門職の人間が葬儀の際に泣いて主に死者の霊魂を慰撫(いぶ)するという役目を担っており、この霊魂と生者との間に立ち、媒介の役目を果たす「泣き女」が神格化されたものこそがナキサワメだと言われています。

また、流れる涙は水を連想させ、ナキサワメの「沢」の字は「多(さわ)」を意味する事からナキサワメとは涙(水)が多く流れる事を意味します。この名前からナキサワメは井戸や泉、湖や沼などの水が湧き出す場所を指しているとされ、新しい生命の源とされる湧き水の神である事から新生児を守護する神としても信仰されています。

尚、「古事記」には「香具山の畝尾(うねび)の木の下に坐(まし)ます神」と記されており、これは奈良県の大和三山の一つである香久山の麓(ふもと)の畝傍に祀られている神であるという意味になります。
また、「延喜式」神名帳に載っている情報によると畝傍都多本神社(うねびつたもとじんじゃ)に泣沢と呼ばれている井戸があり、御神体になっているそうです。
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