天日槍(アメノヒホコ)「日本神話の世界」

天日槍アメノヒホコ

天日槍1
神格
太陽神、農業神、武神
祀られている神社
出石神社(兵庫県出石郡出石町宮内)
鏡神社(滋賀県蒲生郡龍王町)
陶器神社(滋賀県甲賀郡信楽町長野)
天日槍2
神徳
農業守護、国土開発、安産、子宝、開運招福、厄除け、必勝祈願、技術向上、陶器業の守護
別称
天日槍神(アメノヒホコノカミ)、天之日矛神
系譜
新羅から渡来した神
詳細
天日槍(アメノヒホコ)は朝鮮半島の新羅から来たとされている神で、元々は新羅の王子であり、そこで赤い玉から化身したという美しい女性(アカルヒメ)と結婚して暮らしていましたが、のちにアカルヒメは夫に嫌気がさし「自分の祖(おや)の元に帰ります」と言い残し、小舟に乗って日本に行ってしまいます。

アカルヒメが赤い玉の化身とされているのはある時、沼のほとりで昼寝をしていた女性の股の部分に日光が射し、その後、その女性が赤い玉を生み落してそれをアメノヒホコが偶然手に入れると赤い玉は女性へと化身し、アメノヒホコの妻となった事が由来です。

アカルヒメが夫であるアメノヒホコに愛想をつかした理由は驕り高ぶったアメノヒホコに罵りを受けた事が大きな理由だとされ、アメノヒホコは日本に行ってしまったアカルヒメを追って日本へと渡ります。
アカルヒメが難波に行った事は分かっていたのですが、アメノヒホコの船は航海の途中で海上の守護神に行く手を阻まれ、仕方なく但馬(現在の兵庫県出石)の地に上陸します。
こうして但馬の地で生活する事になったアメノヒホコは本来の目的を忘れ、そこで一人の女性と新たに結婚し、子供を作って暮らしたと「古事記」には記されています。
「日本書紀」では古事記とは少し異なり、最初に上陸した場所は但馬ではなく播磨国(現在の兵庫県宍粟郡)であるとされ、その後、宇治川をさかのぼって近江国の吾名邑(あなむら)、若狭国(福井県)を通って播磨国出石へ行きついたと記されています。

但馬の地でアメノヒホコは鉄器、土器の制作方法などの新羅の技術を伝えて生産し、これによって農作物の生産量も飛躍的に増加し国が豊かになるなどした事から、現在でも兵庫県の出石神社では「国土開発の祖神」として祀られています。

天日槍(アメノヒホコ)の名は日の部分は太陽を指し、槍(矛)の部分は武器を指します。また、有名な天岩戸の話に登場し、アマテラスの気を引く為に舞を踊ったアメノウズメが手に持っていた呪具も「日矛」という名前で記されています。

「播磨国風土記」においてのアメノヒホコはアシハラシコオ(オオクニヌシ)と国土を巡って争う強力な武神としてえがかれており、これは土着民族である出雲の人々と渡来民族である出石の人々との争いを物語る記録だとも言われています。
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