素戔嗚(スサノオ)「日本神話の世界」

素戔嗚スサノオ

素戔嗚1
神格
豊穣神、防災除疫の神、歌人の神、冥府の神、荒ぶる神の祖
祀られている神社
八坂神社(京都東山区祇園町)
氷川神社(埼玉県大宮市高鼻町)
津島神社(愛知県津島市神明町)
熊野本宮大社(和歌山県東牟婁郡本宮町)
日御崎神社(島根県簸川郡大社町日御崎)
須佐神社(島根県簸川郡佐田町宮内)
素戔嗚2
神徳
水難、火難、病難除去、五穀豊穣
別称
素戔嗚尊(すさのおのみこと)、健速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、牛頭天王(ごずてんのう)、祇園様(ぎおんさま)、天王様(てんのうさま)
系譜
イザナギの子、子はウマノミタマ、イソタケル、オオトシなど
詳細
素戔嗚はスサノオ尊とも呼ばれる日本神話における英雄の一人で、生まれながらの乱暴者であるが故の気性の激しさと、人々の力になって戦う正義の味方としての両方の側面を持ち、波乱万丈で人間臭さのある神様として、昔から最も人気のある神の一人です。

スサノオがイザナギ、イザナミの子として最初に描かれたのは秩序を乱す、悪の元祖としてのスサノオでした。
父であるイザナギから命じられた海原を支配するという役目を放り出して河や海を干上がらせ、母恋しさゆえに根の国に行きたいと言い出したりと好き勝手し放題であったスサノオは、とうとう姉であるアマテラスの支配する高天原(たかまがはら)にのぼり、田を荒らし、神殿に糞をし、馬を投げ込んで機織り女を殺すなどして暴れまわります。
こうした乱暴者の弟の所業に耐えられなくなった姉のアマテラスは天岩戸に隠れ、世界は闇に閉ざされてしまいます。

その後、神々が知恵を絞って行動を起こした事により、最終的にはアマテラスを天岩戸からでてきますが、これに怒った神々はスサノオの髪と手足の爪を切り、高天原から追放してしまいます。

完全な悪役として高天原を追われてしまったスサノオは、その後、自分の故郷でもある出雲へと赴きます。
出雲でのスサノオは英雄として描かれており、人々を苦しめていた八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、人身御供となっていた美しいイナダ姫を救い、八岐大蛇の尾から出てきた「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」を手にします。
その後のスサノオは自らが救い出したイナダ姫と結婚した事を機に、かつての乱暴者としての姿は身を潜め、模範的な英雄として歌を詠み、優しく繊細な男として描かれるようになりました。

さて、スサノオの更に別の顔として祇園神社に祀られる「祇園様」としての顔があります。日本の夏の風物詩として定着している夏祭りの代表的な存在として「祇園祭」がありますが、これは豊穣神としての顔を持つ、まさにスサノオの祭りだと言えます。また、「祇園神社」「天王神社」では天王祭と呼ばれる疫病除けの為の祭りも行われていますが、これも防災除疫の神としての顔を持つスサノオの祭りで、その場合のスサノオはインドの守護神にならって牛頭天王(ごずてんのう)と呼ばれます。

尚、スサノオは全国に2600社以上ある「八坂神社」、関東に200社あまりを数える「氷川神社」、全国に3000社あると言われている「津島神社」に現在も祀られています。
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