玉依姫(タマヨリヒメ)「日本神話の世界」

玉依姫タマヨリヒメ

玉依姫1
神格
水の神、聖母神
祀られている神社
賀茂御祖神社(京都市左京区下鴨泉川町)
吉野水分神社(奈良県吉野郡吉野山)
青海神社(新潟県加茂市加茂)
玉前神社(千葉県長生郡一宮町)
知立神社(愛知県知立市西町神田)
玉井宮(岡山市門田)
筥崎宮(福岡市東区箱崎)
宇美八幡宮(福岡県粕屋郡宇美町)
宮崎神宮(宮崎市神宮)など
玉依姫2
神徳
安産、子宝、農業、漁業、殖産興業、商売繁盛、開運・方位除け、悪病・災難除け
別称
玉依日売命、玉崎姫、玉依毘売命、活玉依日売命(いくたまよりびめのみこと)
系譜
海神(わたつみのかみ)の娘
詳細
玉依姫(タマヨリヒメ)は日本の各地の神社に同じ名前の祀られていますが、この名はコノハナサクヤヒメのような個人を指す固有名詞ではなく、巫女的霊能力を持った女神を総称して玉依姫と呼んでいるという説があります。
また、玉依姫の「玉依」とは「霊憑(たまより)」からきたとされ、霊憑とは「神霊が依り憑く」という意味である事も、この説の根拠のひとつとなっています。

日本神話におけるタマヨリヒメは海神(わたつみのかみ)や龍神の娘であったり、それらの神を祀る巫女であったりしますが、タマヨリヒメを祭神とする神社も水に緑のある場所にある事が多いとされています。
このように水と関係性が深い事からタマヨリヒメは水の神または海の神とされており、各地でそれぞれ異なった伝承が伝わっていますが、水に関連している神という点では一貫性があるようです。

山幸・海幸神話においてのタマヨリヒメは姉のトヨタマヒメと共に海神の娘として登場します。そして姉のトヨタマヒメが山幸彦と結婚し産んだ子を姉に代わって育て、その子が成人するとその妻となり、四人の子をもうけます。
その四人の子の一人こそがカムヤマトイワビレビコ、すなわち後の神武天皇となります。
また、三輪山伝説に登場するイクタマヨリヒメは三輪山のオオモノヌシとの間にクシミナカタを産み、その孫は鹿島神として知られているタケミカヅチです。
このように多くの子をもうけ、育てたエピソードを持つタマヨリヒメは子孫繁栄のシンボルともなっており、その事が聖母神としての側面を強調しています。
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